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Peaveyは、スピーカーにもアンプと同じ「6505」の名を付けた

2026-10-21

Peavey 5150が6505へ名前を変えたことはよく知られている。だが、その4×12の中にいたスピーカーも、名前を持っていた。1990年代の販促文はSheffield 1200を「5150の4×12にしか入っていない」と書き、2012年の交換部品表では同じ箱の交換用が「Sheffield 6505」と呼ばれ、現行品はSheffield 1230+として「1991年の最初の設計」へ立ち返ったと説明される。スピーカーをアンプの系列名で呼ぶことは、何を意味していたのか。名前が分かれた後、もう一方の5150がCelestionのGreenback系へ向かったことと並べて読む。

Peavey 5150が、ある時期から6505という名前で売られるようになったことは、よく知られている。

ヘッドの名前が変わった。

ハイゲインのアンプを語るとき、この改名は何度も話題になる。

だが、同じ時期に名前を持っていたものが、もう一つある。

ヘッドの下に置かれた4×12の、その中に入っていたスピーカーである。

1990年代、そのスピーカーはSheffield 1200と呼ばれていた。

2012年のPeaveyの交換部品表では、同じ箱の交換用スピーカーが「Sheffield 6505」と載っている。

アンプの名前が、そのままスピーカーの名前になっている。

そして現行の6505 4×12には、Sheffield 1230+という名前のスピーカーが入る。Peaveyはこれを、1991年に採用を決めた最初の設計へ立ち返ったもの、と説明している。

スピーカーを、アンプの系列名で呼ぶ。

これは何を意味していたのか。

5150は、ヘッドと箱をまとめて一つの音として売られた

まず、5150が売り出されたときの言葉から見ておきたい。

1990年代のPeaveyの印刷物に、5150スタックの広告が載っている。

そこでは、リズムとリードの2つのチャンネルを、Edward Van Halen本人がvoicingしたと書かれている。

ここまでは、シグネチャーアンプの売り文句として珍しくない。

注目したいのは、その次の一文である。

広告は、数か月にわたる厳しい試験のなかで、スピーカーのvoicingとキャビネットの構造について多くの組み合わせを吟味し、捨て、そのうえで最終的な組み合わせにたどり着いた、と書いている。

ヘッドの回路の話ではない。

スピーカーと箱の話である。

5150のスタックは、ヘッドの横に「対応するキャビネット」を並べた商品ではなかった。少なくともメーカー自身は、ヘッドと箱とスピーカーを合わせて一つの音を作った、という言い方で売っている。

ストレートとスラントの2種類の4×12が用意され、ヘッドと組み合わせて「スタック」と呼ばれた。

ここでいう「組み合わせ」は、どのスピーカーを、どういう箱に入れるかの選択だった。

Sheffield 1200は、5150の4×12にしか入っていなかった

同じ広告には、もう一つ製品が出てくる。

5150 212 Comboである。

60Wの真空管コンボで、スタックと同じ音をコンパクトにまとめた、という位置づけの製品だった。

広告は、このコンボが鳴らすスピーカーについて、こう説明している。5150の4×12キャビネットにしか使われていない、あのSheffield 1200を2基使っている、と。

この言い方には、二つのことが含まれている。

一つは、Sheffield 1200が、5150の箱のための専用品だったということ。

もう一つは、コンボが「スタックと同じ音」を名乗るために、そのスピーカーを借りてくる必要があったということである。

回路をコンボに移すだけでは足りない。

スピーカーも同じものでなければ、同じ5150の音とは言えない。

メーカーはそう考えていた、少なくともそう売っていた、と読める。

ここで、ふつうのギタースピーカーの名前の付け方と比べてみる。

CelestionのVintage 30やG12M Greenbackは、どのアンプに入っても同じ名前で呼ばれる。スピーカーはスピーカーの名前を持ち、アンプメーカーはそれを選んで積む。キャビネットのスペック表に「Vintage 30×4」と書けば、それが何かは読者に通じる。

Sheffield 1200は、そういう名前ではない。

「5150の4×12に入っているスピーカー」として説明されている。

スピーカーの側から何かを語るのではなく、どのアンプの箱に入っているかで、自分が何であるかを示している。

交換部品表では、スピーカーの名前が「6505」になっていた

時代が下る。

PeaveyにはSpeaker Usage Reference Guideという交換部品の対応表がある。2012年7月付のPDFで、どのスピーカーがどの製品に入っているかを、品番と並べて一覧にしたものである。

その表に、次の2行がある。

Sheffield 6505の8Ω版は、6505 2×12 Combo用。

Sheffield 6505の16Ω版は、6505 4×12 Straightと6505 4×12 Slant用。

かつて5150の4×12に入っていたスピーカーの交換用は、この時点では「6505」という名前で載っている。

アンプが5150から6505へ名前を変えたのと同じように、スピーカーの名前もアンプの名前を追っている。

同じ表には、Sheffield Triple XXXという名前もある。16Ω版がTriple XXX 412のスラントとストレート用、8Ω版がTriple XXX 212 Comboと212キャビネット用である。

こちらも、スピーカーの名前がそのままアンプの名前になっている。

Peaveyは、Sheffieldという自社スピーカーの系列を持ち、その中でアンプ系列ごとに専用の型を割り当てていた。そのことはPeaveyの垂直統合を扱った記事でも触れた。

ここで見たいのは、その割り当てが、名前の付け方にまで表れていたことである。

ここからはCSLの読みになる。

交換部品の名前をアンプの系列で付けると、スピーカーを飛ばした人は、迷わず同じ系列の部品へ戻ってくる。

6505の箱のスピーカーが1本飛んだとき、探すべきものは「6505」である。

特性の近い他社品を探す必要はない。そもそもこの表は、Sheffield 6505がどんな周波数特性で、どれだけの能率を持つかを書いていない。書いてあるのは、どの箱に入るか、だけである。

スピーカーの性格を数値で説明しない代わりに、所属を名前で説明している。

これは、保守まで含めて一系を管理するやり方である。

ヘッドと箱とスピーカーを、買った後の修理まで含めて、同じ名前の中に閉じておく。

ただし、この表から言えるのは名前の対応までである。1200と呼ばれていたものと、6505と呼ばれていたものが、同じ設計のまま名前だけ変わったのか、途中で中身も変わったのかは、表からは分からない。

現行品は、1991年の設計へ戻ったと書いている

現在、Peaveyは6505 Reissue 412というキャビネットを売っている。スラントとストレートの2種類である。

2022年の仕様書は、このキャビネットを、1992年のオリジナル版の仕様を厳密に基礎にし、長年にわたって多くのアーティストから求められてきた基本的な更新をいくつか加えたもの、と説明している。

中に入るのは、Sheffield 1230+を4基。

仕様書は、この新しいSheffield 1230+について、1991年に最初に採用が決まったオリジナルのSheffield設計へ立ち返ったものだ、と書いている。

現行の製品ページは、同じスピーカーを「specially-voiced」、つまり特別にvoicingされたスピーカーと形容する。

キャビネットの仕様は、300W、モノラル時16Ω、ステレオ時は片側8Ω。バーチ合板で、密閉型である。

ここには、読み取れることが三つある。

一つ目は、スピーカーの設計が「1991年」に決まったと書かれていること。オリジナル版の箱が1992年とされているのに対して、スピーカーはその前の年である。5150を作る過程のなかで、スピーカーの選定が早い段階で固まっていたことを、メーカー自身が年号で示している。

二つ目は、「立ち返った」という言い方である。戻るということは、どこかの時点で、最初の設計から離れていたことを含んでいる。何がいつ変わったのかは、仕様書には書かれていない。だが、メーカーが現行品を説明するときに、「最初のスピーカーに戻した」ことを売りの一つにしている。

スピーカーの世代が、アンプの復刻の正しさを示す根拠として使われている。

三つ目は、名前の変化そのものである。1200、6505、1230+。同じ箱のスピーカーが、資料によって三つの名前で呼ばれている。

アンプの名前は一度変わっただけだった。

スピーカーの名前は、それより多く変わっている。

そして最新の名前は、最初の設計に戻ったことを示すために付けられている。

名前が分かれた後、もう一方の5150はGreenback系を選んだ

5150という名前は、Peaveyの手を離れた後、別の場所で続いた。

Edward Van Halenは、自分の名を冠したEVHブランドから、5150IIIというアンプを出す。

このとき、スピーカーにも名前が付いた。

CelestionのG12 EVHである。

Celestionは、このスピーカーについて、EVHブランドの新しい5150-IIIシグネチャーアンプのためにスピーカーを選ぶときが来たとき、選択肢はCelestionしかなかった、と書いている。

ベースになったのは、Heritage SeriesのG12M Greenbackである。Celestionの説明では、20WのGreenbackはキャリアの最初から、スタジオでもステージでも、Van Halenの音に欠かせない役割を果たしてきた。そのGreenbackに、EVHのロゴと赤・白・黒のストライプを入れた黒いマグネットカバーを付けて、G12 EVHが生まれた、とされている。

公表されている仕様は、20W、感度96dB、セラミック磁石35oz、共振周波数75Hz。

Peavey側の6505 4×12がSheffieldを4基入れて300Wとしているのとは、ずいぶん違う方向である。

ただし、ここで数字を並べて比べるのは公平ではない。300Wはキャビネット全体の定格で、20Wはスピーカー1基の定格である。Sheffield 1230+単体の定格や感度は、公表されていない。

それでも、方向の違いは読める。

Peavey側は、自社のSheffieldを、アンプの系列名で呼び続けた。

EVH側は、Celestionの定番スピーカーを土台にして、そこに本人の名前を載せた。

一方はメーカーの名前の中にスピーカーを閉じ、もう一方は演奏者の名前の中にスピーカーを閉じた。

やり方は逆である。

だが、どちらも同じことをしている。

スピーカーを汎用品として扱わず、アンプの名前の一部にしている。

5150という一つのアンプが二つに分かれたとき、どちらの側も、スピーカーに自分の名前を付けた。

名前は、販売の言葉でもある

ここまでの読みには、注意しておくべき点がある。

まず、ここで使った資料は、すべてメーカーの自己記述である。「数か月の試験で多くの組み合わせを捨てた」も、「1991年に採用を決めた最初の設計」も、広告や仕様書の言葉であり、試験の記録そのものではない。

次に、部品に系列の名前を付けることには、音とは別の理由もありうる。在庫管理の都合、交換部品を他社品に流さないための販売上の判断、取扱説明書の書きやすさ。スピーカーを「6505」と呼ぶことが、そのまま音の設計思想を表しているとは限らない。

さらに、名前が同じだからといって、中身が同じとも限らない。1200、6505、1230+のあいだで、コーン、ボイスコイル、磁石、定格がどう違うのかは、公表されていない。

そして、キャビネットのスピーカーをVintage 30などの他社品に載せ替えるという選択は、使い手の側に常にある。メーカーが一系として設計したことと、使い手がそれを一系のまま使い続けたかどうかは、別の話である。

この記事が扱っているのは、音の優劣ではない。

メーカーが、スピーカーをどう呼び、どう売り、どう補修させようとしたか、である。

キャビネットの名前の中には、スピーカーの名前が入っている

この話は、キャビネットを録音したIRやプロファイルを選ぶときにも関わってくる。

「5150の4×12」と言うとき、それは1990年代のSheffield 1200が入った箱なのか、交換部品のSheffield 6505が入った箱なのか、現行のSheffield 1230+が入った箱なのか。あるいは、使い手がVintage 30へ載せ替えた箱なのか。

箱の名前は同じでも、中にいるスピーカーは時期によって違う名前を持っている。

メーカー自身が、現行品の売りとして「最初のスピーカーに戻した」と書くほど、その違いは意識されている。

キャビネットの音を記録するなら、箱の名前だけでなく、中のスピーカーの名前と世代まで書いておく必要がある。

Peaveyがスピーカーにアンプの名前を付けたのは、スピーカーが音の一部だと考えていたからだ、と読める。

だとすれば、その箱を語る側も、スピーカーの名前まで含めて語るのが筋である。

まとめ

Peavey 5150が6505へ改名したことは、よく知られている。

だが、その4×12の中のスピーカーも、名前を持っていた。

1990年代の広告は、Sheffield 1200を「5150の4×12にしか入っていない」スピーカーとして説明し、コンボが同じ音を名乗るためにそれを2基借りてきたと書いた。

2012年の交換部品表では、同じ箱の交換用スピーカーが「Sheffield 6505」と呼ばれていた。Triple XXXにも、Sheffield Triple XXXがあった。スピーカーの性格を数値で語る代わりに、どのアンプに属するかを名前で語っていた。

現行のSheffield 1230+は、1991年に採用を決めた最初の設計へ立ち返ったと説明される。スピーカーの世代が、復刻の正しさを示す根拠になっている。

そして5150という名前が分かれた後、もう一方の5150IIIは、Celestion Greenbackを土台にしたG12 EVHを選び、そこに演奏者の名前を載せた。

メーカーの名前と、演奏者の名前。

方向は逆だが、どちらもスピーカーを、アンプの名前の一部として扱った。

ハイゲインのアンプの音は、ヘッドの回路で語られることが多い。

だが、その音を作った人たちは、箱の中の4つのスピーカーにも、同じ名前を付けていた。


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