パンクは技巧を否定したのか。Toy Dollsのオルガが捨てたのは、速さではなかった
パンクは技巧を否定した、と語られてきた。だがToy Dollsのオルガは、驚くほど速いピッキングで知られながら、本人は見せびらかしの速弾きを嫌うと明言している。ピックすら使わず、指にテープで貼った自作物で弾く。一方で公式サイトには自分の運指練習の動画を置いている。矛盾しているように見えるこの人物の影響源をたどると、リードとリズムを同時に弾くという、難しいのに難しく見えない系譜へ行き着く。
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パンクは技巧を否定した、と語られてきた。だがToy Dollsのオルガは、驚くほど速いピッキングで知られながら、本人は見せびらかしの速弾きを嫌うと明言している。ピックすら使わず、指にテープで貼った自作物で弾く。一方で公式サイトには自分の運指練習の動画を置いている。矛盾しているように見えるこの人物の影響源をたどると、リードとリズムを同時に弾くという、難しいのに難しく見えない系譜へ行き着く。
1980年12月5日、サンフランシスコのWarfield Theatre。三人のギタリストによるこの記録は、速弾きの名盤として語られてきた。だが聴いたときに来るのは感心ではなく、規模の大きすぎるものを前にした呆然に近い。三人は互いの語法を共有していない。噛み合う瞬間と噛み合わない瞬間が入れ替わり続け、聴く側はそこへ参加できないまま見ている。その構造を、四十年後のギタリストの証言と盤の成り立ちから読む。
楽器の歴史は、たいてい機能を足す方向で語られる。多弦化、音域の拡張、切り替えの追加。その反対側に、外す人たちがいる。Keith Richardsは5本、Max Cavaleraは4本、Mark Sandmanは2本。そしてLou Reedは6本残したまま、すべてを同じ音へ寄せた。理由はそれぞれ違い、思想が先だったとも限らない。四つの記録を並べると、共通していたのは弦の本数ではなかった。