記事が増えてきた。
一本ずつ書いてきたので、全体としてどこへ向かっているのか、外からは見えにくくなっているかもしれない。
そこで一度、これまで記録してきたアンプを、系統ごとに地図として並べてみたい。どこから読んでも、CSL(Chuuni Sound Lab)が何を残そうとしているかが見えるようにした索引である。
まず、CSLは何をしているのか
CSLは、実機の真空管アンプを、決めた条件で収録し、Kemperプロファイルとして記録している。
狙いは「唯一の正解音」を配ることではない。その時点で整えられ、実際に鳴っていた一台を、条件付きで残すことだ。
- Kemperプロファイルは実機の代用品なのか。CSLが販売しているもの
- Kemperプロファイルは、なぜ"アンプ名"だけでは選べないのか
- 実機アンプを記録するとは、何を残すことなのか
- ギターアンプが消えていく前に。CSLは何を記録するのか
- 名機だけでは、歴史は残らない。過渡期のアンプを記録する意味
収録環境という土台
何を記録するかと同じくらい、どう記録するかを決めてきた。キャビネット、マイク、プリアンプ、リアンプ。条件をそろえることで、機種どうしを同じ土俵で聴き比べられるようにしている。
- ギターアンプの音をどこまで固定できるのか。CSLの収録環境を組み立てる
- なぜMarshall 1912なのか。キャビネットを固定する
- ギターアンプの音は、なぜマイク位置で変わるのか。Center、Edge
- GT-67とSM57。二つの視点でギターアンプを記録する
- アンプへ戻すための入口。Radial EXTC-500とリアンプ環境
90年代の物量と多機能
CSLが特に多く扱ってきたのが、90年代の大型・多機能な真空管アンプである。Marshall JCM900 SL-Xを起点に、物量で時代に応えようとしたアンプ群をたどってきた。
- JCM900 SL-Xは「失敗作JCM900」なのか
- JCM900 SL-Xと6100LM Ch3は何が違うのか
- 90年代ギターアンプは、まだ物量で未来を作ろうとしていた
- 現在のアンプは、すでにここにあった。Marshall 6100という30周年の到達点
- ラックか、ヘッドか。真空管でマルチボイスをやる、二つの形
ハイゲインの系譜
「もっと歪む」をめぐる流れも、一台ずつ記録してきた。専用設計のハイゲイン、改造Marshall文化、その洗練としてのブティック。
- Soldanoとは何だったのか。SLO-100がハイゲイン・アンプの意味を変えた
- ハイゲインだけでは終わらない。ENGL Invader 150が4チャンネルへ分けたもの
- 現代のアンプは、なぜ再びシンプルになったのか。Friedman Dirty Shirley 40
- Mesa/Boogieは、一つの音ではない。MarkシリーズとRectifierが作った二つのハイゲイン
- 90年代ブティックアンプは、ハイゲインだけではなかった
ラック、プリアンプ、デジタルの周辺
アンプ本体だけでなく、ラックプリアンプやハイブリッド、デジタルの周辺も記録対象にしてきた。アンプが「音を作るもの」から「音を受け止めるもの」へ移っていく過渡期である。
- 前段の辞書と、後段の物理。TriAxisと395 Simul-Classという組み合わせ
- アンプを分解した時代。ラック・システムが現在のギター機材へ残したもの
- ハイブリッドアンプは、なぜ主流にならなかったのか
- 誰かの音を再現しないデジタルアンプ。Yamaha DGシリーズが今でも面白い理由
小型・低出力・時代性
大出力の時代から、小型・低出力へ。その移り変わりも、思想と実機の両面で追ってきた。
- 小型真空管アンプが一度だけ大量に現れた時代。2000年代の低出力チューブアンプ
- 100Wヘッドの時代はなぜ終わったのか
- "真空管アンプの未来"は2000年代に一度分岐した
- Mesa/Boogieはいつアーカイブになったのか
知られざる一台たち
CSLがこだわってきたのは、定番機より、語られてこなかった一台である。消えたブランド、直販で広まらなかった機種、評価の定まらない過渡期の機材。
- 消えたブティックメーカーを記録する。Bedrock Amplificationという中間地点
- 前所有者に整えられた小型アンプを、なぜ記録するのか。Greco GVA CUSTOM
- 歪み量では説明できない音圧。VHT Pittbull Forty-Five
- 万能でなくていい。Randall RH300 G3 Plusというメタル専用機
この地図の使い方
ここに並べたのは、これまでの記事の一部である。けれど、CSLが何をしてきたかは、この地図でだいたい見えるはずだ。
収録の思想があり、それを支える環境があり、その上で一台ずつアンプを記録してきた。中心にあるのは、定番の名機より、「このままだと共有されずに消えていく音」である。
気になった系統から読み始めてほしい。どの記事も、最後はひとつの問いにつながっている。この音を、どう残し、どう次へ渡すか。
その問いの先に、Kemperプロファイルという答えがある。
まとめ
CSLは、収録の条件をそろえながら、90年代の物量、ハイゲインの系譜、ラックと小型化、ブティック、そして知られざる一台たちを記録してきた。
この記事は、その全体を見渡すための地図である。
一本ずつ書いてきた記録は、ばらばらに見えて、ひとつの方向を向いている。消えていく音を、条件ごと残し、また弾ける形にする。地図のどこから入っても、その中心にたどり着くようにできている。