Jensenは1960年代末にスピーカーの生産を止め、30年近く経った1996年から、イタリアのSICAがライセンスを受けて作り直した。工場も人も工程も残っていない復刻で、いったい何が継がれたのか。名前と権利、資料と製造設備、型番体系、そして音の目標。四つに分けて数えると、「オリジナルと同じ仕様」という言葉が誰の側の厳密さなのかが見えてくる。Fender向けP10Rとネオジムの「Vintage」シリーズが、その答えをさらに複雑にする。
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Jensenは1960年代末にスピーカーの生産を止め、30年近く経った1996年から、イタリアのSICAがライセンスを受けて作り直した。工場も人も工程も残っていない復刻で、いったい何が継がれたのか。名前と権利、資料と製造設備、型番体系、そして音の目標。四つに分けて数えると、「オリジナルと同じ仕様」という言葉が誰の側の厳密さなのかが見えてくる。Fender向けP10Rとネオジムの「Vintage」シリーズが、その答えをさらに複雑にする。
KemperとNAMは、同じ「アンプを保存する道具」に見える。だが実際に比べると、やっていることは驚くほど近く、違うのは別の場所にある。どちらもアンプの非線形応答を推定し、どちらも「スピーカーを含めて録るか、外して録るか」という同じ二択を持つ。分かれるのは、その形式がどこに住んでいるか。そしてIRだけが、なぜ両方に載るのか。線形という一語が、その理由になっている。
2016年、Elektronは八つのアナログ歪み回路を持つ製品を二つ発売した。片方は卓上のAnalog Heat、片方は足元のAnalog Drive。回路の考え方は近いのに、いま新品で買えるのは卓上のほうだけである。音質でも部品でもなく、プリセットをどう呼び出すかという一点に、シンセの文法とギターの文法の違いが出ていた。優れた設計が別の文化へ渡るとき、何が翻訳されず残るのかを、Elektronの製品史からたどる。
多くのハイゲインアンプに、DepthやResonanceというノブが付いている。低音を足すつまみだと思われがちだが、設計側の説明は違う。Fryetteの取扱説明書もPeaveyの取扱説明書も、そしてPeaveyの特許も、これを「ダンピングファクターを変える回路」として説明している。トーンコントロールではなく、帰還の設計である。
変わった形のキャビネットは、たいてい外側が変わっている。だが3rd PowerのDS412は、外から見ると普通の4×12である。変わっているのは内側で、箱の中が四つの三角形の部屋に分かれている。しかも一室だけ開放で、残り三室は密閉。三角形は見た目のためではなく、反射を抑え、経路を分けるための形だった。
ギタースピーカーは長いあいだ、アンプの中に入っている名前のない部品だった。1966年にAmpeg向けの18インチを一日三本作るところから始まったEminenceは、Fender、Peavey、Mesa/Boogieらの箱の中で無記名のまま鳴り続け、2000年に自社ブランドの流通を始める。PatriotとRedcoat、そしてtone guide。この会社が売り始めたのは部品ではなく語彙だった。スピーカーが「交換部品」から「選ぶ音色」へ変わった産業構造の話として整理する。
真空管アンプの音量問題は、ほとんどいつもアンプとスピーカーの間で解かれてきた。抵抗、ロードボックス、アイソレーション。だが2000年代末から2010年代初めにかけて、発音体そのものを可変にする製品が出ている。FluxToneは永久磁石を電磁石へ置き換え、Eminence FDMはノブでポールピースを動かして磁束をボイスコイルから逃がした。スピーカーの能率は定数ではない。それでもこの分岐は標準にならなかった。何が起きていたのかを整理する。
雷、モーター、光。Gamechanger Audioは「珍しい物理現象を持ち込む会社」として紹介されることが多い。だがその括り方では、製品どうしの差が消える。現象そのものと、それを音楽の時間へ乗せる制御と、演奏者の身体が触れる操作面。この三つに分けて九年分を並べ直すと、最も過激な現象を持つ製品が最も保守的な操作をしていて、地味に見える製品のほうが新しい動作を要求していたことが見えてくる。
「真空管は一年で交換」という言い方は広く流通している。だが出所を辿ると、誰もそれを一般則としては言っていない。1983年の解説記事は症状で判定していた。年一回という数字を書いたのはメーカーの取扱説明書で、そこには管種・使用頻度・目的という三つの条件が付いていた。流通の過程で落ちたのは条件のほうだった。工学側に一律の寿命定格が存在しないことと合わせて、保守の言説がどう形成されたかを追う。
4×12を選ぶとき、最初に決めさせられるのは音ではなく形である。斜めか、まっすぐか。この二択は長く続きすぎて、前提の方が見えなくなった。傾いているのは外形なのか、バッフルなのか、放射軸なのか。ENGL E412XXLは直型の外装のまま、内部でスピーカー配列だけを傾ける。外形は容積を稼ぎ、傾きは拡散を担当する。分離できるということは、そもそも二択ではなかったということでもある。傾きの起源から、外形と内部を分ける設計まで整理する。
ギタースピーカーは、しばしば「早く歪むほど良い」という前提で語られる。だが200W・100dB・鋳造フレームのEVM12Lは、その反対側に立つ。スピーカー自身が音を崩さず、アンプが作った歪みとクリーンを高い音圧のまま保つための終端である。Greenback系の早いブレイクアップと比べると、両者は優劣ではなく「歪みを誰が担当するか」という分業の違いとして読める。
Chase Bliss、Bananana Effects、Gamechanger Audio、SOMA。この四社はまとめて「実験的」と呼ばれる。だがその一語は、まったく違う四つの設計を潰している。最初の一音までに何を要求されるか(入口)、操作を誤ると何が起きるか(失敗)、さっきの音へ戻れるか(回復)。この三つで並べ直すと、安全網は音の穏やかさではなく、演奏者と現象のあいだに何枚の層を挟んだかで決まっていたことが見えてくる。
Source Audioの技術資料には、既存の歪みを複製・モデリング・エミュレートするつもりはなかった、とはっきり書かれている。ところがこの会社が主流の選択肢になったのは、名機のディレイを写した機種と、スプリング・リヴァーブの再現からだった。20年の年表を、製品の並びではなく「疑った場所」と「主流化のとき何を変えたのか」で読み直すと、変えられたのは処理の中身ではなく、ペダルボードの文法のほうだったことが見えてくる。
テープ、BBD、サンプラー、レコード、ピックアップ、ギタースピーカー。これらの「高域が落ちた音」は、しばしば暖かいという一語でまとめられる。だが機構はまったく違う。資源と交換されたもの、補償として設計されたもの、共振として形成されたもの、楽器として意図されたもの。四つに分けたうえで、制約が消えた後もパラメーターとして復刻される過程を追う。
ギターキャビネットは、音を客席や部屋へ投射するための箱として発達してきた。アイソレーション・キャビはその役割を裏返す。スピーカーとマイクを箱の中へ閉じ込め、外へは出さず、出力はケーブルだけで取り出す。IRやロードボックスが普及するより前に、大音量を私有化するための物理的な回答が存在した。ただし箱を小さくすれば、その箱自身が部屋になる。定在波と背圧という新しい問題を、各社がどう解いたかを読む。
ギターアンプの大音量化は、出力段の競争として語られることが多い。だが100Wを名乗るヘッドは、100Wを受け止められる終端があってはじめて成立する。1967年にFaneがガラス繊維のボイスコイルで許容入力を引き上げ、1980年代以降にCelestionがG12T-75、G12K-100へ進んだ流れを追うと、大音量化は「スピーカーを壊さず、早く歪ませない」技術の競争でもあったことが見えてくる。同時に、それは歪みを作る担当がスピーカーからアンプへ移っていく過程でもあった。
TC ElectronicのG-Systemは2005年に登場し、評価も高かったが、同じ名前の後継機は出ないまま終わっている。この製品を古いマルチとしてではなく、手持ちのアンプを主役に残したまま周辺だけを統合した設計として読み直す。4系統のペダル・ループと5本目のプリアンプ・インサート、アンプのチャンネル切替、分離できる処理部。完成度を機能数ではなく「何を主役として残したか」と「判断をどこへ集約したか」で測ると、後継不在の理由も技術停滞では説明できなくなる。Nova System、Fractal FX8、BOSS MS-3、Line 6 HX Effectsを同じ軸に並べる。
Fishmanの製品を並べると、一本の技術が進化した形には見えない。アコースティックの音響像を後から足すAura、コイルを巻くのをやめたFluence、音を一切出さずMIDIだけを送るTriplePlay。用途も原理も違う。だがこの三つは、同じ場所を疑っている。出口の音をどう良くするかではなく、入口で何を取り出すか、である。コンタクト・トランスデューサーから始まった会社が、弦の振動の取得を三度書き直した歴史として読む。
4×12キャビネットは、同じスピーカーを四つ並べるのが当たり前だった。だが21世紀の入口で、上段と下段に違うスピーカーを入れ、高域と低域を役割として分けた箱が現れる。Hughes & Kettner WARP T 412の一次資料を起点に、混載が『配合』から『機能配置』へ変わった瞬間を読む。寸法、耐入力、能率差、床との距離まで、キャビネットを容器ではなく配置の設計物として整理する。
1994年のOverkill『W.F.O.』は、ベースがギターより前で鳴る異様なミックスとして発売当時から知覚されていた。同じ時期の『...And Justice for All』はベースをほぼ消した。二作は、標準的なメタルの楽器バランスから逆方向へ逸脱した鏡像である。スタジオ録音は、バンド固有の役割配分を整流すべきか、露出すべきか。事故か記録かを、開いたまま検証する。
アンプメーカーが自社キャビネットのIRを配る時代になった。Soldanoは廃番世代や個体限定の箱までIRライブラリに並べ、Laneyは現行の一台を小型コンボの中へ複製し、ENGLは自社キャビ群を比較できる形で列挙する。だがIRは線形の一断面で、収録条件も選定理由も公開されない。保存されたキャビネット史は、誰かが選んだ目録である——モデラーのキャビリストを歴史の資料として読み直す。
Vintage 30という名前は、古いスピーカーの復刻を思わせる。だが1986年にCelestionがやったのは、旧Alnico Blueと同じ部品を作り直すことではなかった。コーンがどう動いているかをレーザー干渉計で測り、その挙動を高耐入力の新しい材料——セラミック系の磁石、新しいコーン、新しいボイスコイル——へ移植する作業である。復刻には「部品を同じにする」と「挙動を同じにする」の二種類がある。デジタル・モデリングが一般化する前に、物理的な部品でそれをやった一例として読み直す。
ギタースピーカーは、ギターの音を作るために生まれた専用部品ではない。1950年代末、ラジオ/ラジオグラム用のG12ユニットを、ギターアンプの熱と振幅で壊れないよう補強したものが出発点だった。サラウンドの強化、アルミから銅へのボイスコイル、端末線の補強。三つはいずれも耐久のための判断であり、音色の設計ではない。だが15Wという上限と、その先の材料制約が、結果として「ギターらしい音」の語彙を作っていった——設計の理由と、残った音の関係を読み直す。
愛された定番に、良かれと機能を足し、値段を上げると、その定番を支えた層が離れていく。2015年Gibsonの自動チューナー騒動から、Teenage EngineeringのOP-1へ。制約と手頃さで愛されたOP-1が、Fieldで機能+約2.5倍の価格へ振れ、既存のファンを置き去りにした。愛された製品を、どう更新するか――価格と顧客層から読み直す。
同じMustaine/Friedman/Ellefson/Menza編成でも、Rust in Peace、Countdown to Extinction、Youthanasiaはまるで別のバンドのように鳴る。中央のCountdownの巨大さは、特定アンプや過剰な重ね録りではなく、曲・演奏・帯域・空間・編集の誤差を減らす『引き算』で作られた。名盤の音を、機材決定論ではなく制作システムとして読み直す。
マルチエフェクターは昔から人気で、主役はアナログからデジタルへ移ってきた。デジタルマルチは音質面の留保に甘んじてきたが、アナログマルチはMaxonのTube Screamer内蔵など品質の問題が少なく、自分のエフェクトを足すループやオン/オフ記録も備える。デジタルの強み(同時数・接続順の可変)は実利用では空振りも多い。アナログマルチの真価は電源と可搬性で、Fly Rigがアナログの側から巻き返した。だがモデラー小型化の時代に、結局はまたニッチへ――という現在地を読む。
スプリングリバーブの歴史は、音質が少しずつ良くなっていく一本道ではない。PA、ギターアンプ、スタジオ、実験的な演奏という別々の現場が、同じ機械式残響に別々の課題を与えてきた歴史である。Hawk HR-15、Peavey Valverb、Radial TankDriver 500、Gamechanger Audio LIGHT Pedal。この四台を優劣ではなく「何を良くしようとしたのか」で並べ直す。
1980年前後の硬く乾いたクリーンは、ソリッドステートアンプの欠点だったのか。JC-120、Yamaha Fシリーズ、コーラス、ニューウェーブ、プログレッシブ・メタル、そして多チャンネル真空管アンプまでを一本の時系列に並べると、冷たさは避けられなかった副作用ではなく、編曲が選び取った仕様として見えてくる。
ギターアンプの歴史には、消えたメーカーが無数にある。Sunn、Acoustic、Norlin期のLab Series、そして90年代のブティック勢。製品が中古市場に残っていても、失われるものがある。なぜその設計に至ったのかという判断の連なりは、会社と一緒に消える。名機が残り、思想が残らないという非対称。設計を記録するとはどういうことかを、消滅の側から考える。
一人で弾いて最高だった音が、バンドに入った途端に聴こえなくなる。この現象は腕でも機材の質でもなく、帯域の取り合いで説明できる。低域はベースとドラムが、高域はシンバルとボーカルが占めている。ギターに残された場所はどこか。中域が嫌われてきた理由、Vの字設定が成立する条件、そして録音とライブで最適解が違う理由まで。合奏を前提とした音作りの考え方を整理する。
かつて大音量は、場所を借りなければ手に入らないものだった。スタジオ、ライブハウス、練習場。真空管アンプの本領は、その場所へ行かなければ引き出せない。2010年代に、この前提が崩れる。リアクティブロード、アッテネーター、IR。大音量が個人の部屋の中へ入ってきた。音を出す権利が公共の予約枠から私有物へ移ったとき、機材選びと練習の仕方は何が変わったのか。
ノブを回して音を作る。この当たり前だった手順は、80年代に一度否定されている。設定を記憶し、番号で呼び出す。プリセットという仕組みが導入されたとき、音作りは「探す作業」から「選ぶ作業」へ変わった。ADA MP-1から現代のモデラーまで、記憶できる機材が演奏と練習に何をもたらしたのか。そして、呼び出せることの代償として何が起きたのかを整理する。
デジタルモデリングの40年は、ほぼ全部が模倣に費やされてきた。Plexi、Twin、Rectifier。実在した名機を、どれだけ正確に写せるか。それは正しい努力だったが、同時に想像力の上限を決めてもいた。物理的に作れなかったアンプ、真空管では成立しない振る舞い、演奏に応じて構造が変わる装置。存在しなかったアンプを設計することは可能なのか。模倣が終わったあとに何が残るのかを考える。
80年代までのアンプは、音を出す装置として売られていた。90年代に売られ始めたのは、特定の誰かの音そのものである。シグネチャーモデル、アーティストプリセット、アンプ名を冠したモデリング。音色が固有名詞と結びつき、商品として流通するようになった10年。その構造が、いまのプロファイル販売やIR販売まで一直線につながっている。音を買うとは何を買うことなのかを、歴史から考える。
Mesa/BoogieのMarkシリーズは、5バンドのグラフィックEQを歪みの後ろに置いた。現代メタルの標準であるFortin Grindのようなブースターは、歪みの前でローを削る。同じ「EQで音を作る」という行為が、歪みを挟んで前と後ろに分かれている。この位置の違いが何を意味するのか。60年代から現代まで、トーン回路の置き場所という一本の軸でギターアンプの設計史を読み直す。
70年代から90年代にかけて、ギターアンプはピッキングと歪みの相互作用を磨き続けた。アタックの快感を設計する競争だった。その真っ只中で、正反対を選んだ演奏家がいる。Allan Holdsworth。Marshallを降り、Lab Series L5・Hartley-Thompson・Pearce G1という全トランジスタ機へ移り、しかしMesa/Boogieの真空管ラックへ戻り、その出口にはRocktron Juice Extractorを挿した。彼が拒んだのは真空管ではない。条件が勝手に動くことの方だった。密閉スピーカーボックス「The Coffin」にマイクごと閉じ込めて固定し、動いてほしくない変数を片っ端から潰していく。そこまでして最後に一つだけ自由に残したものが、音の時間である。
1994年、Peter DiezelのVH4は、ロックとメタルの歪みの基準を書き換えた。Soldanoが開いた『深いのに濁らない』高ゲインを、Diezelはどこまで進めたのか。4チャンネル・独立EQ・MIDI、そしてMegaチャンネルのタイトさ。90sハイゲインの到達点を、『ゲインの深さ』ではなく『分離と定義(ディフィニション)』という設計思想から読み解く。
ゲインを上げるほど、普通は音が濁り、ざらつき、輪郭を失う。それなのに、Soldano SLO-100は深く歪ませても明瞭さと弾き心地を保ち、むしろ気持ちよくなる。1987年に登場しブティック市場の起点になったこの一台を通して、『ゲイン量』ではなく『ゲイン配分』という見えない設計判断が、良い高ゲインと悪い高ゲインを分けていることを掘る。
「EL34は中域が前に出る」「6L6は締まってヘッドルームが広い」。よく語られる真空管の傾向は、どこまでデータで、どこから通説なのか。球単体で測れる差と、回路やスピーカーとの交絡を切り分けると、『真空管の音』を型番にどこまで帰せるのかが見えてくる。CSLが型番でなく鳴っていた状態を記録する理由と、まっすぐつながる話。
Chuuni Sound Lab(CSL)が公開している Kemper プロファイルのパックを、この1ページにまとめました。各機種、まず無料サンプルで試して、気に入ったら有料パックへ。実機アンプを、条件ごと弾ける形にして残しています。新しいパックはここに随時追加します。
これまで機材の音を記録してきた。最近は、音そのものと同じくらい、その裏にある設計の考え方が面白いと感じている。今日は肩の力を抜いて、その話を少しだけ。
アンプにエフェクトループがあるかないか。地味な仕様だが、これはそのアンプが『自分をどういう存在だと考えているか』を映している。単体で完結する装置か、信号の通り道の一部か。ループの有無から、アンプ観を読み解く。
かつてアンプは、弾いて鳴らす楽器だった。いまは、設定を呼び出し、MIDIで操作し、他の機材とつなぐインターフェースに近い。モータライズドノブ、プリセット、チャンネル記憶、そしてモデラー——アンプが『操作され、記憶され、呼び出される』存在へと変わっていった過程を、一回性と再現性のせめぎ合いとして CSL の視点で読む。
キャビネットは、スピーカーを収める入れ物にすぎないのか。それとも、音を作る楽器の一部なのか。ただの箱と見るか、鳴りを設計された共鳴体と見るかで、音作りの考え方は大きく変わる。キャビの位置づけを問い直す。
ここ数十年、アンプ本体はそれほど変わっていないのに、出てくる音は大きく変わった。なぜか。音を決める『制御層』が、アンプの中から外へ、ペダルへ、入力信号へ、そしてDSPへと移動してきたからだ。その流れを追う。
ギターの音といえば歪みが語られがちだ。だが、クリーンを主役に据える演奏思想がある。歪みで隠せないぶん、タッチと時間の質がむき出しになる。クリーンを中心にした音楽が、機材と演奏に何を求めるのかを考える。
アンプのEQ——トーンスタックは、歪みの前に置くか、後に置くかで、まったく違う働きをする。前段EQは歪み方そのものを変え、後段EQは歪んだ音を整える。同じ三つのつまみが、置き場所で別の意味を持つ。その設計思想を追う。
いまのアンプは、クリーンと歪みをスイッチで切り替えられて当たり前だ。だが、この当たり前は最初からあったものではない。一台のアンプで複数の音をまかなうという発想が、いつ、なぜ生まれたのかを追う。
同じ型番の真空管を積んでも、アンプが違えば音が違う。理由のひとつが、バイアスをどう設定し、球をどう働かせるかという設計だ。球の種類だけでは音が決まらない、という当たり前を掘り下げる。
同じブースターでも、アンプの前に置くか、歪みの後に置くかで、働きはまるで変わる。前に置けば歪みの入り方を変え、後に置けば音量とレンジを押し出す。位置というだけの違いが、なぜ別物の音を生むのかを整理する。
アンプの中に、プリ管が何本あるか。地味なスペックに見えて、これはそのアンプがどれだけの歪みを、どう作ろうとしたかを映している。ゲイン段の数という設計判断から、アンプの音楽観を読み解く。
メタルの音を語るとき、『タイト』という言葉がよく使われる。だが、タイトとは音色ではなく、時間の話だ。音の立ち上がり、減衰、返ってくる速さ。タイトという感覚が、時間構造の何を指しているのかを掘り下げる。
マイクを立てて録るとき、その信号は必ずマイクプリを通る。プリは音量を上げるだけの装置に見えて、実際には音の質感を左右している。Neve/APIの色付けの伝統から、色を作る回路の中身、そしてCSLが実際に使うSymProceed SP-MP500とSM57/GT-67のチェーンまで、マイクプリで音がどこまで変わるのか、収録でどう固定するのかを具体的に書く。
ロードボックスとIRは、スピーカーという最終段を切り離した。だが『スピーカーがデジタルに置き換わっただけ』ではない。リアクティブロードはパワー段の挙動を残し、線形IRはスピーカーの非線形な崩れを取り逃す。そしてKemperプロファイル自体もIRの親戚で、スピーカー層は同じく線形に凍結される。何が残り、何が失われるのか——CSLの記録がIRと本当は何が違うのかまで、正直に掘る。
自宅で録音するという環境が当たり前になったとき、アンプに求められるものが静かに変わった。大音量で完成する設計から、小音量でも成立し、ラインで完結する設計へ。アッテネーター、ロードボックス、パワースケーリング、IR、モデラー——宅録という制約がアンプの進化に何を要求し、なぜ『そのアンプの音』が条件抜きには語れなくなったのかを、CSLの視点で追う。
同じアンプヘッドでも、つなぐキャビネットが変われば音は大きく変わる。では、最終的な音のうち、どれくらいがキャビで決まっているのか。スピーカーの口径や素材、箱の開放・密閉、マイクとの相互作用まで踏まえて、ヘッドとキャビの役割を整理し、CSLがなぜ基準キャビを固定して収録するのかを掘り下げる。
歪みは、長いあいだ『足すもの』だった。クリーンなアンプに、音量やペダルで後から加える副産物。だがある時期から、歪みは最初から回路として『設計するもの』になり、やがて設計する場所そのものがアンプの外へと動いていく。Mesa・Soldano・Rectifier から現代メタルの入力信号設計まで、その転換が何をもたらしたのかを CSL の視点で追う。
CSLは「最高の音」を売らない。奇妙に聞こえるかもしれないが、それがCSLの約束だ。代わりに売るのは、実際にあった音の記録。条件を隠さず、誇張せず、クセも残す。その立場を書く。
Kemperのプロファイルは数が多く、同じアンプ名でも条件が違えば別の音になる。買う前に自分のことを三つ確かめると迷わない。手元のKemper、欲しい音の方向、使う場面。その三つで選ぶ考え方を書く。
プロファイルを選ぶとき、単体の音の派手さばかり見ていないだろうか。CSLがこだわるのは、単体の見栄えより条件が揃っていることだ。録り方を固定すると、再現でき、比較でき、他の音源と条件を合わせられる。その価値を書く。
CSLのプロファイル名は、暗号のように見えて、じつは収録条件の地図だ。アンプ設定、マイク、位置、ブレンド比が名前に並んでいる。読めれば、買う前に中身が分かる。名前の読み方を一つずつ解説する。
同じプロファイルでも、ライブと配信では選ぶべきものが変わる。CSLは名前にマイクと位置を残しているので、場面ごとの選択が名前の段階からできる。ライブは抜け、配信は聴かれ方。CSLの命名を手がかりにした選び方を書く。
宅録では、大型アンプの迫力より、小型アンプの収まりのよさが効く。CSLが最初の商品に選んだ5Wコンボ、Greco GVA CUSTOMを例に、なぜ内蔵の8インチスピーカーごと記録するのか、その音が宅録で強い理由を書く。
定番の名機なら、実機もプロファイルも手に入る。だがCSLが記録するのは、店頭に並ばず、名前も知られないまま消えていく一台だ。持っていない、もう手に入らないアンプの音を、作品に使うとはどういうことか。
Kemperで音を変えたいとき、多くの人はGainやEQのつまみを回す。だが標準プロファイルでは、その操作は実機のノブとは別物だ。CSLはそこを補正で誤魔化さず、実機の設定そのものを録り分けることで解いている。その理由を書く。
CSLの無料サンプル3本は、適当に抜き出したものではない。アンプの設定を中央にそろえ、マイクだけを変えた"実験"として設計してある。だから、正しい聴き方がある。EQを触らず、マイクの違いだけを聴く。その手順を書く。
プロファイルは、集めるほど良くなるわけではない。積むより弾くほうが、音は良くなる。CSLのGVAパックは一台で設定違い24本。数百の未使用リグより、一台を弾き分けるほうが深い。手持ちを活かす考え方を書く。
この記事で100本目になる。ここまで、ずっと同じことを書いてきた。消えていく音を、条件ごと記録すること。その記録を、読むだけで終わらせず、実際に弾ける形にして渡す。CSLがKemperプロファイルを売る、その理由を書く。
Chuuni Sound Labがこれまで記録してきたアンプを、系統ごとに地図として並べる。90年代の物量、ハイゲインの系譜、ラックと小型化、ブティック、そして収録の思想まで。どこから読んでも、CSLが何を残そうとしているかが見えるようにした索引。
ギターアンプの多くはいまだにパッシブ・トーンスタックを基本にしている。ベースではアクティブEQが標準化したのに、なぜギターでは主流にならなかったのか。回路の優劣ではなく、歴史的・文化的な定着の違いとして整理する。
90年代まではアンプ本体が進化の中心だった。だが2000年代に入ると、ギターアンプの未来はデジタル・小型真空管・ブティック・高級リイシュー・プロファイリングへと分岐する。その分岐点に90年代アンプを置き直し、CSLが実機で何を追っているのかを整理する。
Line 6 POD登場の直前、アンプメーカーはまだ真空管アンプ自体を多機能化することで時代に応えようとしていた。Marshall、Mesa/Boogie、ENGL、Peavey、Bogner、Laneyなど各社が「全部やる」を物量で実現しようとした、デジタル化前夜の最後のアナログ回答を振り返る。