Chuuni Sound Lab

#音作り

23 本

Scumbackが復刻しているのは、弾き込まれた後のCelestion

米国の小さなスピーカー工房Scumbackは、出荷するすべてのスピーカーを、variacにつないで24時間鳴らしてから送り出す。ステージで数十時間弾いたのと同じ状態にしてから渡す、という説明である。いっぽうCelestionは、40年使われた1966年製G12Mのコーンを「完全に摩耗した」として、新しいコーンへ張り替えてみせた。同じ「古さ」を、メーカーは摩耗として新品へ戻し、Scumbackは出荷前に作り込む。復刻の対象が部品でも挙動でもなく、使われた後の状態へ移った例として読む。

MとHの違いは、磁石の重さだった。1.9kgのNeo Creambackは、どちらの軽量版でもなく「間」に置かれた

CelestionのG12MとG12Hは、同じ可動部に違う重さの磁石を組み合わせて作り分けられてきた。Creambackの2機種も同じ手順で作られている。では、磁石をネオジムに替えて重量を1.9kgまで落としたとき、どちらの音を残せばよいのか。CelestionはNeo Creambackを、M-65とH-75の「間」にボイシングしたと説明する。仕様表を並べると、その「間」が数値の平均ではないことが見えてくる。軽量化の約束が、1本のスピーカーとの互換ではなく、系列の音との互換へ移っている。

ゲートリバーブは、何が製品になったのか。運ばれたのは仕組みではなく、減衰の形だけだった

1979年のTownhouseで生まれたゲートリバーブは、やがてAMS RMX16のプログラム8「NonLin 2」として誰でも選べるものになった。ところがAMS自身のマニュアルは、ゲートにもPhil Collinsにも触れず、減衰の形だけでそのプログラムを定義している。同じ現場からSSLは原因側の装置を取り出し、Townhouseの部屋は売られるかわりに目的地になった。1つの音が製品へ移るとき、何が運ばれ、何が運ばれなかったのかを追う。

大音量のクリーンは、アンプだけで作られたのか。JBL D120Fという、歪まないことを設計した終端

1947年のJBL D130はギター用として作られていない。高能率で壊れにくいスピーカーだった。それを見つけたのは奏者のほうで、Fenderは1959年に工場オプションとして追認した。12インチのD120Fに入っている11ポンドの磁石と4インチのボイスコイルを、同じ12インチのCelestion G12M Greenbackと並べると、クリーンの余裕がどこで設計されていたのかが見える。

スピーカーは、なぜ後ろから付けるのが普通なのか。Fryette FatBottomが前面取付を音の言葉で説明した理由

ギターキャビネットのスピーカーは、バッフルの裏から付いていることが多い。前から付ける方式もあるが、たいてい整備性や見た目の話として扱われてきた。Fryetteはこれを音の説明として書いている。拡散、密閉、低域の締まり、投射。一方でスピーカー側のメーカーは、取付方向で周波数特性が変わると説明する。では、なぜ後ろ付けが多数派なのか。理由は音ではなかった。

「高域が落ちた音」は、いつ美学になったのか。制約が保存の対象へ反転するまでの四つの機構

テープ、BBD、サンプラー、レコード、ピックアップ、ギタースピーカー。これらの「高域が落ちた音」は、しばしば暖かいという一語でまとめられる。だが機構はまったく違う。資源と交換されたもの、補償として設計されたもの、共振として形成されたもの、楽器として意図されたもの。四つに分けたうえで、制約が消えた後もパラメーターとして復刻される過程を追う。

『Countdown to Extinction』の巨大さは、足し算ではなく引き算で作られた。同じ四人が、別のバンドに聴こえる理由

同じMustaine/Friedman/Ellefson/Menza編成でも、Rust in Peace、Countdown to Extinction、Youthanasiaはまるで別のバンドのように鳴る。中央のCountdownの巨大さは、特定アンプや過剰な重ね録りではなく、曲・演奏・帯域・空間・編集の誤差を減らす『引き算』で作られた。名盤の音を、機材決定論ではなく制作システムとして読み直す。

宅録・DTMで、小型アンプのプロファイルが効く理由

宅録では、大型アンプの迫力より、小型アンプの収まりのよさが効く。CSLが最初の商品に選んだ5Wコンボ、Greco GVA CUSTOMを例に、なぜ内蔵の8インチスピーカーごと記録するのか、その音が宅録で強い理由を書く。

ライブと配信で、Kemperプロファイルをどう選ぶか

同じプロファイルでも、ライブと配信では選ぶべきものが変わる。CSLは名前にマイクと位置を残しているので、場面ごとの選択が名前の段階からできる。ライブは抜け、配信は聴かれ方。CSLの命名を手がかりにした選び方を書く。

100本の記録を、弾ける形にして渡す

この記事で100本目になる。ここまで、ずっと同じことを書いてきた。消えていく音を、条件ごと記録すること。その記録を、読むだけで終わらせず、実際に弾ける形にして渡す。CSLがKemperプロファイルを売る、その理由を書く。

CSLが記録してきたアンプの地図。ここまでに残したもの

Chuuni Sound Labがこれまで記録してきたアンプを、系統ごとに地図として並べる。90年代の物量、ハイゲインの系譜、ラックと小型化、ブティック、そして収録の思想まで。どこから読んでも、CSLが何を残そうとしているかが見えるようにした索引。

KemperのInputは、なぜ軽視できないのか

KemperのInputセクション、特にClean SenseとDistortion Senseが、プロファイルの反応をどう左右するのかを整理する。ギター差が入力信号として現れる仕組みと、CSLが入力条件を揃える理由をあわせて説明する。

実機アンプを記録するとは、何を残すことなのか

同じ型番のアンプでも個体差はある。だがCSLが記録しているのは「ベストな一台」ではなく、収録条件を明示した「この条件で鳴らした、この一台」である。個体差を不安材料ではなく、条件を残す前提として整理する。

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