Kemperプロファイルを商品として並べるとき、何を書けばいいのか迷う場面がある。
音の印象だけを書いても、購入者は判断材料を持てない。 逆に、情報を詰め込みすぎると、何が大事なのか伝わらなくなる。
CSLでは、商品説明に入れる項目をあらかじめ決めている。 Amp Type、Gain、Center / Edge、Raw / Boosted、用途、注意書き。 この6つである。
商品説明に何を書くか、迷う理由
Kemperプロファイルは、音そのものを売っている。 だが、音は試聴するまで分からない。
試聴前の購入者が判断できるのは、テキストと試聴音源だけである。 テキストが曖昧だと、試聴音源の印象だけで選ばれることになる。
それでも構わない場合はある。 ただし、CSLでは、購入者が「自分の用途に合うかどうか」を試聴前にある程度 判断できるようにしておきたい。
書く側にも、迷いは起こる。 1本目のプロファイルでは丁寧に書けても、10本目、20本目になると、 言葉が似てくる。
似た言葉が並ぶと、購入者からは「どれも同じに見える」状態になる。 これは、プロファイル同士の違いが実際にないわけではなく、説明の側が 追いついていないだけのことが多い。
そのために、項目を固定している。 毎回ゼロから言葉を選ぶのではなく、決まった型に沿って書く。 型があることで、書く側の負担も減り、購入者が見比べる軸も揃う。
Amp Typeは、何を伝える項目か
Amp Typeは、そのプロファイルがどの方向性のアンプかを示す項目である。
ここで実在のアンプ名をそのまま商品名に出すかどうかは、慎重に扱っている。 記事として歴史やレビューを書くときは、機種名に触れてよい。 しかし、販売導線に近い商品ページでは、別の判断が必要になる。
「このプロファイルは〇〇そのもの」とは書かない。 代わりに、「英国系」「米国系」「90年代ハイゲイン」のような方向性表現を使う。
アンプ名を隠すことと、音の説明を曖昧にすることは同じではない。 むしろ、アンプ名に頼らない分、ほかの項目での説明はより重要になる。
Amp Typeだけで音の全体像は伝わらない。 だからこそ、続くGainやCab、Mic Positionの項目が必要になる。
方向性表現の選び方にも、基準を決めておく方がよい。 「英国系」「米国系」というのは生まれた地域の傾向を指す言葉であり、 「80年代ハイゲイン」「90年代ハイゲイン」というのは時代の傾向を指す言葉である。 どちらか一方だけでなく、両方を組み合わせることで、Amp Typeの情報量は増える。
ここで気をつけたいのは、方向性表現を増やしすぎないことである。 「英国系・80年代・ハイゲイン・ロック向け」のように形容詞を並べすぎると、 かえって輪郭がぼやける。 1つか2つの言葉に絞った方が、購入者には伝わりやすい。
Gainは、なぜ数値だけでは伝わらないのか
Gainは、クリーンからハイゲインまでの、どの位置を収録したかを示す項目である。
数値だけを書いても、それが何を意味するかは伝わりにくい。 同じ「Gain 6」でも、アンプによって歪み方は大きく違う。
そのため、CSLでは数値に加えて、音の方向性を短い言葉で添える。 「クランチ寄り」「リード向け」「歯切れの良いクリーン」のような言葉である。
これは、Gainという項目を曖昧にするためではない。 数値だけでは伝わらない部分を、言葉で補うためである。
Gainの説明は、Amp Typeと組み合わせて初めて意味を持つ。 「英国系・クランチ寄り」のように並べると、購入者が想像しやすくなる。
数値の付け方についても、基準を決めておく必要がある。 Kemper側のGainノブの値をそのまま書くのか、収録時の実機側のゲイン設定を 書くのか、どちらかに統一しなければ、プロファイル同士の比較ができなくなる。 CSLでは、Kemper側で再現した際の目安値として統一して書いている。
Center / Edgeは、マイク位置の代表点を示す
CSLでは、マイク位置をCenterとEdgeの2点に絞って収録している。
マイク位置は、理論上は無数に作れる。 距離や角度を少し変えるだけで、印象は変わっていく。
それでも、CSLは2点に絞っている。 網羅性よりも、実用性と比較可能性を優先しているためである。
Centerは、輪郭やアタック、高域の情報が見えやすい位置である。 Edgeは、高域が落ち着き、太さやまとまりが見えやすい位置である。
商品説明にCenter / Edgeのどちらかを明記するのは、この違いを購入者に あらかじめ伝えるためである。 「Centerの方が抜けがいい」「Edgeの方が太い」というような、相対的な 比較ができる状態を作っておく。
両方を1つの商品として並べて出す場合もある。 その場合は、「Center / Edgeの両方を収録」と明記し、どちらか一方だけを 収録した商品と区別できるようにしておく。 表記を揃えておかないと、購入者は「これは両方入っているのか、片方だけなのか」 を試聴音源の数から推測するしかなくなる。
Raw / Boostedは、入力条件の違いを示す
Raw / Boostedは、ブースターを挟んだかどうかを示す項目である。
CSLの標準収録は、何も挟まない状態を基準にしている。 ブースターを使ったバリエーションは、Boostedとして別に扱う。
これは、Boostedの方が優れているという意味ではない。 入力条件が違う、という事実を示しているだけである。
ブースターを通した音は、ブースターで押された信号を受けたアンプの音である。 その違いを「Raw」「Boosted」という言葉で区別しておくことで、購入者は 自分の好みに近い方を選びやすくなる。
すべてのアンプにBoostedバリエーションがあるわけではない。 効果が薄いアンプでは、Boostedを作らない判断もある。
Boostedという言葉を使う以上、何を使ってブーストしたかにも触れた方がよい。 ただし、ここでも唐突に機材名だけを出すことはしない。 「クリーンブースターを使用」という説明を先に置き、必要であれば 具体的な機種名を続ける、という順序を守る。
用途と注意書きは、何のために書くのか
用途は、そのプロファイルがどんな曲・どんな場面に向いているかを示す項目である。
ジャンル名をそのまま書くこともあるが、断定はしない。 「〇〇に向いている」ではなく、「〇〇のような場面で使いやすい」という 書き方にする。
注意書きは、保証しない範囲を示す項目である。
CSLが残したいのは、唯一絶対の正解音ではない。 その時点で整えられ、実際に鳴っていた一台の記録である。
だからこそ、注意書きには「完全再現」「本物そのもの」という言葉は使わない。 個体差があることや、リファインによって演奏時の反応が変わる可能性があることも、 必要に応じて短く触れておく。
実際に並べると、どうなるか
6項目を実際に並べてみる。
Amp Type: 英国系・80年代ハイゲイン Gain: 6(クランチ寄り、コード弾きで歯切れが残る位置) Mic Position: Edge(太さとまとまりを重視) Input: Raw(ブースターなし) 用途: バンドアンサンブルでのリフ・バッキングに使いやすい 注意書き: 実機の個体差・収録条件を反映した記録であり、特定製品の完全再現を 意図したものではない
これだけの情報があれば、購入者は試聴前に「自分が欲しい音の方向性に 近いかどうか」をある程度判断できる。 逆に、この6項目のどれかが欠けると、判断材料の一部が抜けたまま 試聴音源だけで決めることになる。
商品ごとに毎回この型を当てはめるだけで、説明の質を一定に保てる。 これが、CSLが項目を固定している理由である。
CSLが商品説明で守っていること
商品説明は、広告文ではない。 購入者が判断するための情報である。
そのため、CSLでは誇大な表現を避けている。 「最高の音」「絶対に良い」というような言葉は使わない。
価格や仕入れにかかった金額についても、商品説明には書かない。 それは、音の判断材料にはならないためである。
Amp Type、Gain、Center / Edge、Raw / Boosted、用途、注意書き。 この6項目を固定しているのは、毎回同じ基準で書くことで、購入者が プロファイル同士を比較しやすくするためである。
商品説明の役割は、音を誇張することではない。 比較できる状態を作ることである。
これは、Kemperプロファイルに限った話ではない。 実機の録音条件を記録するという行為そのものが、CSLでは比較可能性を 軸にしている。 キャビネットを12インチ・クローズドバックに揃えているのも、 マイク位置をCenterとEdgeに絞っているのも、同じ理由による。
商品説明の6項目は、その収録方針を、購入者が読める言葉に翻訳した ものだと考えてよい。
まとめ
Kemperプロファイルの商品説明には、Amp Type、Gain、Center / Edge、 Raw / Boosted、用途、注意書きという6つの項目を入れている。
Amp Typeはアンプ名を直接出さず方向性で示し、Gainは数値と言葉を組み合わせる。 Center / Edgeはマイク位置の代表点、Raw / Boostedは入力条件の違いを示す。 用途は断定せず、注意書きでは保証しない範囲を明確にする。
この型に沿って書くことで、購入者は試聴前にある程度の判断材料を持てる。 商品説明は、音を誇張する場所ではなく、比較できる状態を作る場所である。
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