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ソリッドステートの歪みを、真空管のパワー段で鳴らすと何が起きるか。Randall RH300 G3 Plus

2026-07-06

Randall RH300 G3 Plus のプリアンプを、実機のパワー段ではなく Fryette PS-2A の真空管パワーアンプで鳴らして記録した。ソリッドステートの硬質でタイトな歪みに、真空管パワー段のレスポンスを重ねる。少し変わった録り方で作った、モダンメタル向けプロファイル集の話。

モダンメタルのリズムは、タイトさで決まる。刻みが潰れず、低域が膨らまず、一音一音がその場を空ける。その音を、Randall RH300 G3 Plus で記録した。

ただし、少し変わった録り方をしている。そこから話したい。

Randall というブランド——ソリッドステートでメタルを鳴らす

RH300 G3 Plus の話をする前に、Randall というメーカーの立ち位置を押さえておきたい。

ギターアンプの世界では、長らく「真空管こそ本物、ソリッドステートは廉価な代用品」という序列が支配的だった。だが Randall は、その序列の外で、ソリッドステートを積極的に選んできた数少ないブランドだ。とりわけヘヴィなジャンルとの結びつきが強い。硬く、締まり、大音量でも破綻しない半導体の歪みは、真空管の温かい飽和とは別の価値を持つ——メタルというジャンルは、その価値を早くから理解していた。Randall は、その需要に真正面から応えたメーカーだった。ソリッドステートは妥協ではなく、目指す音への最短距離だった、という設計思想がそこにある。

RH300 G3 Plus という素性

RH300 G3 Plus は、その系譜に連なる、ハイゲイン・ソリッドステート・ヘッドだ。300W級の出力を持つ、パワフルな一台である。

音の性格は、はっきりしている。硬質で、タイトで、歪みの粒が細かい。ブリッジミュートの分離がよく、速い刻みでも一音一音の輪郭が崩れない。真空管アンプが持つ、あの太さや揺らぎ、弾いた瞬間に一拍遅れて膨らむサグ——そういった「時間的なにじみ」が、この歪みには無い。半導体のプリアンプは、電源が電圧をたわませないぶん、アタックがまっすぐ立ち、減衰が締まる。以前 CSL が「メタルのタイトとは時間の何を指すのか」で書いた、速い立ち上がりと短い減衰という時間の輪郭を、この歪みは素の状態で持っている。ここがソリッドステートの持ち味であり、モダンメタルに向く決定的な理由でもある。

チャンネルは Clean と Drive の2つ。クリーンは主役ではなく、メタルアンプの中に用意された実用的な足場として扱う。中心は、あくまで Drive の硬いハイゲインだ。Drive 側は、Gain を上げていっても歪みが飽和して潰れるのではなく、深いところまで粒立ちを保ったまま濃くなっていく。トーン系のコントロールは、真空管アンプのトーンスタックのように歪みと絡んで表情を変えるというより、帯域をまっすぐ動かす素直な効き方をする。だから狙った帯域に、迷わず手が届く。この「素直さ・予測しやすさ」も、半導体アンプの設計上の性格だ。

なぜ「タイトさ」が武器になるのか

このタイトさは、モダンメタルのリズムにとって、単なる好みではなく機能だ。

ダウンチューニングで低く、速く刻む音楽では、一音が長く尾を引くほど、音同士が重なって濁る。低域がもたつけば、リフの輪郭は消える。真空管の心地よい膨らみは、この文脈ではしばしば邪魔になる。だからこそ、サグを持たず、低域が締まり、アタックが遅れないソリッドステートの歪みが、ここで効く。RH300 の硬さは、欠点ではなく、この音楽のために選ばれた性格だ。「タイトなアンプが欲しい」というメタルギタリストの要求に、RH300 は設計そのもので応えている。

なぜ、実機のパワー段を使わなかったのか

さて、ここからが今回の記録の変わった点だ。今回は、RH300 自身のパワー段を使っていない。

プリアンプの出力を、Fryette PS-2A の真空管パワーアンプで鳴らし、Marshall 1912(Celestion G12B-150)をマイク収録した。ソリッドステートのプリが作る硬くタイトな歪みに、真空管パワー段の押しと、弾いたときのわずかな返り——レスポンスを重ねる。硬さは保ったまま、そこに管の押し出しを一枚加える。そういう音を残したかった。半導体プリの締まりと、真空管パワー段の生々しさの、いいとこ取りを狙った組み合わせだ。

だからこれは、RH300 の純正パワー段込みの音とは別物だ。CSLはそこをごまかさず、正直に「PS-2A版」と呼んでいる。イレギュラーな記録であることは、商品名にも明記した。良い悪いではなく、この組み合わせで実際に鳴っていた音を、条件ごと残している。何を通した音なのかを隠さないのは、記録を売るというCSLの立場そのものだ。

10の音色で、モダンメタルを組む

パックの中心は、用途ごとに作り込んだ10の音色だ。

ModernRhythm を基準に、DropTight(ダウンチューニングの締まり)、ThrashAtk(アタック重視の刻み)、ModernLead(存在感のあるリード)、BrutalScoop(スクープ気味の重いリフ)、ArticDjent(分離と粒立ち重視)まで。軽い方向には CrunchTightGroove90s、クリーンには CleanBoost を置いた。

名前を見れば何用か分かるようにしてある。そして、それぞれの実際のノブ設定は隠さず開示している。名前は道しるべ、条件は表で全部見せる。それがCSLの方針だ。

マイクと位置は、選べる

各音色は、マイク3構成(SM57 / GT-67 / 60:40ブレンド)× Center / Edge で収録している。

SM57は締まって前に出る。GT-67は太く丸い。ブレンドはその中間。Centerは芯が出て、Edgeは柔らかく暗い。同じ音色でも、ミックスの中でどう座らせたいかで選べる。

何を売っているか

最高の音でも、唯一の正解でもない。RH300 のプリを、PS-2A のパワー段と Marshall 1912 という条件で鳴らしたときの記録を、弾ける形にして渡す。硬さもタイトさも、そのまま残してある。

弾いたときの反応は、使うギター・ピックアップ・ボリュームでも変わる。まずは無料サンプルで、あなたのKemperと耳で確かめてほしい。

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免責

Randall、Fryette、Marshall 等の名称は各権利者の商標です。Chuuni Sound Lab は独立した制作者であり、各メーカーとの提携・公認・スポンサー関係はありません。機種名は収録した機材を説明する目的でのみ使用しています。Kemper / Profiler は Kemper GmbH の商標です。

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