多くのハイゲインアンプに、DepthやResonanceというノブが付いている。低音を足すつまみだと思われがちだが、設計側の説明は違う。Fryetteの取扱説明書もPeaveyの取扱説明書も、そしてPeaveyの特許も、これを「ダンピングファクターを変える回路」として説明している。トーンコントロールではなく、帰還の設計である。
18 本
多くのハイゲインアンプに、DepthやResonanceというノブが付いている。低音を足すつまみだと思われがちだが、設計側の説明は違う。Fryetteの取扱説明書もPeaveyの取扱説明書も、そしてPeaveyの特許も、これを「ダンピングファクターを変える回路」として説明している。トーンコントロールではなく、帰還の設計である。
Soldano SL-60 を、リアクティブロード経由のダイレクトアンププロファイルとして収録した。キャビネットは別収録の Marshall 1912 の IR。HI と LO の2入力それぞれ6設定ずつ、計12音色 × 3マイク × Center/Edge の72本。掛け算で増える収録を、足し算に変えた話。
Soldano SL-60は日本で作られた。Michael Soldanoが初めて手がけた低価格機で、設計は本人、製造は日本の工場、企画を持ちかけたのは当時の日本の輸入代理店だった。だが一年で終わっている。音は良かった、と本人は言う。終わった理由は音ではなかった。回路はSLO-100のオーバードライブ・チャンネルそのもので、そこから何を削り、何を残したのかも合わせて読む。
ギターの音域が下がったとき、アンプの側では何が起きていたのか。低い音は振幅が大きく、歪み回路にとって最も扱いにくい入力である。7弦や多弦、ドロップチューニングが一般化した90年代以降、アンプ設計とペダルの役割は静かに書き換えられた。タイトさという言葉の中身、低域を先に削る理由、スケール長と弦の張力まで。音域の拡張がもたらした設計要求を、順を追って整理する。
1994年、Peter DiezelのVH4は、ロックとメタルの歪みの基準を書き換えた。Soldanoが開いた『深いのに濁らない』高ゲインを、Diezelはどこまで進めたのか。4チャンネル・独立EQ・MIDI、そしてMegaチャンネルのタイトさ。90sハイゲインの到達点を、『ゲインの深さ』ではなく『分離と定義(ディフィニション)』という設計思想から読み解く。
ゲインを上げるほど、普通は音が濁り、ざらつき、輪郭を失う。それなのに、Soldano SLO-100は深く歪ませても明瞭さと弾き心地を保ち、むしろ気持ちよくなる。1987年に登場しブティック市場の起点になったこの一台を通して、『ゲイン量』ではなく『ゲイン配分』という見えない設計判断が、良い高ゲインと悪い高ゲインを分けていることを掘る。
Randall RH300 G3 Plus のプリアンプを、実機のパワー段ではなく Fryette PS-2A の真空管パワーアンプで鳴らして記録した。ソリッドステートの硬質でタイトな歪みに、真空管パワー段のレスポンスを重ねる。少し変わった録り方で作った、モダンメタル向けプロファイル集の話。
アンプの中に、プリ管が何本あるか。地味なスペックに見えて、これはそのアンプがどれだけの歪みを、どう作ろうとしたかを映している。ゲイン段の数という設計判断から、アンプの音楽観を読み解く。
メタルの音を語るとき、『タイト』という言葉がよく使われる。だが、タイトとは音色ではなく、時間の話だ。音の立ち上がり、減衰、返ってくる速さ。タイトという感覚が、時間構造の何を指しているのかを掘り下げる。
歪みは、長いあいだ『足すもの』だった。クリーンなアンプに、音量やペダルで後から加える副産物。だがある時期から、歪みは最初から回路として『設計するもの』になり、やがて設計する場所そのものがアンプの外へと動いていく。Mesa・Soldano・Rectifier から現代メタルの入力信号設計まで、その転換が何をもたらしたのかを CSL の視点で追う。
90年代のブティックアンプは「もっと歪むMarshall」だけではなかった。改造Marshall文化から育った高級ハイゲインと、Matchlessに代表されるヴィンテージ回帰。二つの方向を並べ、真空管アンプが実用品から嗜好品へ移っていく流れとして整理する。
真空管アンプがまだ主役だった90年代、メーカーは大きな筐体・出力・多チャンネル・ループ・MIDI・ラインアウトで時代に応えようとしていた。Marshall、Mesa/Boogie、ENGL、Peavey、Bognerなど各社の流れから、物量で未来を作ろうとしていた時代と、その後のデジタル・小型化への分岐を振り返る。
SL-XとFriedmanは、どちらも「Marshallをもっと歪ませる」系譜にある。だが一方は本家が量産機として出した回答、もう一方は改造Marshall文化を少数生産で洗練させたブティックである。似ているようで、この二台の間にははっきりした距離がある。その距離を、荒さと整いという軸で見る。
MarshallといえばEL34という前提を一度外し、90年代Marshallに存在する5881仕様を、JCM900 SL-Xと6100LMを通じて考える。硬さ・締まり・レンジ感と、EL34的な中域との違いを整理する。
どちらも90年代Marshallの高ゲインだが、6100LMは全部入りアンプのリードチャンネル、SL-Xは単チャンネルMarshallの延長にある。同じ「Marshallのリード音」でも、設計の出発点が違う二台を実機で比較する。
JCM900 SL-Xは、JCM800を素直に進化させた一台ではない。Soldano、Mesa/Boogie、改造Marshall、ラック機材が押し進めたハイゲイン競争のただ中で、Marshall本家が量産機として出した回答だった。洗練ではなく、量産Marshallとしての荒さという視点から見直す。
「JCM900は失敗作」という印象は、どこから来たのか。Dual Reverb・MkIII・SL-Xを分けて考え、単チャンネル高ゲインMarshallとしてのSL-Xを、健康な実機で確認し直すというCSLの視点。
JCM900 SL-X 2500という一台を通じて、90年代のMarshallがどこへ向かおうとしていたかを確かめ直す。名前への印象と設計の方向を分けて考えるための最初のメモ。