Chuuni Sound Lab

#Celestion

8 本

4×12と同じ大きさの箱に、スピーカーを3本だけ入れた

ポーランドのLabogaが作る3×12キャビネット312B Mr. Hectorは、同社の4×12(412B)と外寸750×750×350mm、定格240W RMSまで同じである。中に入るのはCelestion Vintage 30が2本と、Electro-VoiceのEVM12L Black Labelが1本。4×12のG12T-75の2本が、5倍の許容入力を持つ1本に置き換わった形になる。3本では、同じインピーダンスのスピーカーをどう組んでも8Ωにも16Ωにもならない。異なるスピーカーを混ぜることが、3本という形式を成り立たせる条件にもなっている。仕様の数字だけから、非対称なキャビネットが何を引き受けたのかを読む。

低域を売る4×12は、V30より低域の狭いスピーカーを選んだ

Orangeの4×12キャビネットPPC412HP8は、200Wのギターアンプ Thunderverb 200のために作られ、製品ページは巨大な低域とドロップ・チューニングを謳う。ところが搭載するCelestion G12K-100の公称の周波数範囲は、通常のPPC412に入るVintage 30より低域側が狭い。箱は同じで、重さも同じ。変わったのはスピーカーが受け止められる電力だった。設計者が想定した使い手は、4×12と15インチのキャビネットを並べる人たちである。キャビネットの「低域」が、低くまで出ることなのか、低い音を大きく入れても耐えることなのかを分けて読む。

Scumbackが復刻しているのは、弾き込まれた後のCelestion

米国の小さなスピーカー工房Scumbackは、出荷するすべてのスピーカーを、variacにつないで24時間鳴らしてから送り出す。ステージで数十時間弾いたのと同じ状態にしてから渡す、という説明である。いっぽうCelestionは、40年使われた1966年製G12Mのコーンを「完全に摩耗した」として、新しいコーンへ張り替えてみせた。同じ「古さ」を、メーカーは摩耗として新品へ戻し、Scumbackは出荷前に作り込む。復刻の対象が部品でも挙動でもなく、使われた後の状態へ移った例として読む。

MとHの違いは、磁石の重さだった。1.9kgのNeo Creambackは、どちらの軽量版でもなく「間」に置かれた

CelestionのG12MとG12Hは、同じ可動部に違う重さの磁石を組み合わせて作り分けられてきた。Creambackの2機種も同じ手順で作られている。では、磁石をネオジムに替えて重量を1.9kgまで落としたとき、どちらの音を残せばよいのか。CelestionはNeo Creambackを、M-65とH-75の「間」にボイシングしたと説明する。仕様表を並べると、その「間」が数値の平均ではないことが見えてくる。軽量化の約束が、1本のスピーカーとの互換ではなく、系列の音との互換へ移っている。

100Wのアンプは、なぜ100Wで鳴らせたのか。ボイスコイルが決めていた大音量の上限

ギターアンプの大音量化は、出力段の競争として語られることが多い。だが100Wを名乗るヘッドは、100Wを受け止められる終端があってはじめて成立する。1967年にFaneがガラス繊維のボイスコイルで許容入力を引き上げ、1980年代以降にCelestionがG12T-75、G12K-100へ進んだ流れを追うと、大音量化は「スピーカーを壊さず、早く歪ませない」技術の競争でもあったことが見えてくる。同時に、それは歪みを作る担当がスピーカーからアンプへ移っていく過程でもあった。

同じスピーカーを四つ、とは限らない。上下で高域と低域を分けた4×12

4×12キャビネットは、同じスピーカーを四つ並べるのが当たり前だった。だが21世紀の入口で、上段と下段に違うスピーカーを入れ、高域と低域を役割として分けた箱が現れる。Hughes & Kettner WARP T 412の一次資料を起点に、混載が『配合』から『機能配置』へ変わった瞬間を読む。寸法、耐入力、能率差、床との距離まで、キャビネットを容器ではなく配置の設計物として整理する。

Vintage 30の「Vintage」は、何の復刻だったのか。部品ではなく、コーンの動きを測って作り直した

Vintage 30という名前は、古いスピーカーの復刻を思わせる。だが1986年にCelestionがやったのは、旧Alnico Blueと同じ部品を作り直すことではなかった。コーンがどう動いているかをレーザー干渉計で測り、その挙動を高耐入力の新しい材料——セラミック系の磁石、新しいコーン、新しいボイスコイル——へ移植する作業である。復刻には「部品を同じにする」と「挙動を同じにする」の二種類がある。デジタル・モデリングが一般化する前に、物理的な部品でそれをやった一例として読み直す。

ギタースピーカーは、音のために設計されたのか。ラジオ用ユニットを壊さないための補強から始まった

ギタースピーカーは、ギターの音を作るために生まれた専用部品ではない。1950年代末、ラジオ/ラジオグラム用のG12ユニットを、ギターアンプの熱と振幅で壊れないよう補強したものが出発点だった。サラウンドの強化、アルミから銅へのボイスコイル、端末線の補強。三つはいずれも耐久のための判断であり、音色の設計ではない。だが15Wという上限と、その先の材料制約が、結果として「ギターらしい音」の語彙を作っていった——設計の理由と、残った音の関係を読み直す。

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