Marshall 1960は、4×12キャビネットの代名詞だ。だが同じ外形を継ぐ1960Aと1960AXは、G12T-75/300WとGreenback/100Wという別のスピーカーを積み、ヘッドルームとスピーカー歪みの意味が変わる。型番が同じでも、音は世代で動く。外形の寿命と、音の固定性を分けて読む。
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Marshall 1960は、4×12キャビネットの代名詞だ。だが同じ外形を継ぐ1960Aと1960AXは、G12T-75/300WとGreenback/100Wという別のスピーカーを積み、ヘッドルームとスピーカー歪みの意味が変わる。型番が同じでも、音は世代で動く。外形の寿命と、音の固定性を分けて読む。
ギターアンプの歴史は、模倣の歴史でもある。MarshallはFender Bassmanを写すところから始まり、その回路は無数のブティックメーカーへ受け継がれた。モディファイ、クローン、リイシュー、そしてデジタルの再現。似せるという行為には何段階もの水準があり、それぞれ別のことをやっている。何を写し、何を変えるのか。模倣という行為を、設計の側から評価し直す。
SL-XとFriedmanは、どちらも「Marshallをもっと歪ませる」系譜にある。だが一方は本家が量産機として出した回答、もう一方は改造Marshall文化を少数生産で洗練させたブティックである。似ているようで、この二台の間にははっきりした距離がある。その距離を、荒さと整いという軸で見る。
MarshallといえばEL34という前提を一度外し、90年代Marshallに存在する5881仕様を、JCM900 SL-Xと6100LMを通じて考える。硬さ・締まり・レンジ感と、EL34的な中域との違いを整理する。
どちらも90年代Marshallの高ゲインだが、6100LMは全部入りアンプのリードチャンネル、SL-Xは単チャンネルMarshallの延長にある。同じ「Marshallのリード音」でも、設計の出発点が違う二台を実機で比較する。
90年代から2000年代初頭の日本のリハスタには、JC-120かJCM900しかない、という時間が確かにあった。その記憶が、JCM900というアンプの評価を実際以上に下げていないか。体験の記憶と機材そのものの評価を、いったん分けて考える。
JCM900 SL-Xは、JCM800を素直に進化させた一台ではない。Soldano、Mesa/Boogie、改造Marshall、ラック機材が押し進めたハイゲイン競争のただ中で、Marshall本家が量産機として出した回答だった。洗練ではなく、量産Marshallとしての荒さという視点から見直す。
「JCM900は失敗作」という印象は、どこから来たのか。Dual Reverb・MkIII・SL-Xを分けて考え、単チャンネル高ゲインMarshallとしてのSL-Xを、健康な実機で確認し直すというCSLの視点。
JCM900 SL-X 2500という一台を通じて、90年代のMarshallがどこへ向かおうとしていたかを確かめ直す。名前への印象と設計の方向を分けて考えるための最初のメモ。