Chuuni Sound Lab

#宅録

30 本

Godinは、シンセが音を読みやすいようにギターの木を選んだ

ギター・シンセの読み取り部は、ふつう後から取り付ける。Godinはそれを楽器の中へ作り込んだ。ナイロン弦では磁気式のピックアップが使えないため、Multiacは6本のサドルそのものをピックアップにした。指板とネックの接合も、シンセが音程を追いやすい側が選ばれたという。その判断の手前には、窓枠の工場から始まり、他社向けの部品で倒れかけ、200ドルのギターを良くすることに賭けた製造の来歴がある。

Carvin Vintage 16は、4本用のトランスを2本で鳴らす

EL84を2本、16Wと5W、12インチ1発。Carvin Vintage 16は、小さなAC30やMatchless系の仲間に見える。だがCarvin公式の回路図の隅には「4本用の出力トランスを2本で使う」と書かれ、その部品番号はEL84を4本積むVintage 33と同じだった。固定バイアス、全体負帰還、ロングテール型位相反転、キャビネット特性付きのライン出力。小さく設計されたアンプではなく、大きなアンプを縮めたアンプとして、回路図から読み直す。

パワーアンプは、ただ音を大きくする装置だったのか。音量・音色・再生・相互作用という四つの役割

パワーアンプの歴史は、真空管からソリッドステートへ、ラックからモデラーへという機材分類でしばしば語られる。だがこの記事が追うのは、パワーアンプに何が求められてきたかという要求そのものの変化である。Slave Ampが外部化したのは音量であり、ラック期のMesaはパワーアンプを音色形成装置に変えた。Rocktron Velocity 300は、真空管とスピーカーの相互作用を1990年代前半にはすでに製品の中心機能にしていた。モデラー登場後、物理パワーアンプには透明な再生装置であることが求められ、そして今、Fryette LX IIやSeymour Duncan PowerStageは、演奏者とスピーカーの関係そのものを設計する装置として作られている。

FRFRは、2ウェイでなければならないのか。Jensen D Seriesと、「手応え」を別々の物理量で説明する各社

モデラーやプロファイラーの出口には、たいてい2ウェイのフルレンジ・スピーカーが置かれる。だがJensenのD Seriesは、紙コーン一枚とボイスコイル前方のホーン状の負荷だけで12kHzを大きく超えると書いている。クロスオーバーを使わない。同じ時期に、Celestion、Line 6、Kemperもそれぞれ別の答えを出した。並べて読むと奇妙なことに気づく。各社が「手応え」と呼ぶものの原因として名指しする物理量が、まったく一致していない。

Groove Tubesは、スピーカーを回路に書き換えていた。1986年の特許と、2008年に残らなかったもの

Groove Tubesは真空管の選別で知られた会社である。だが同じ発想は、真空管の外にも向けられていた。1986年に出願された特許「Emulated guitar loudspeaker」は、スピーカーという動かせない前提を、抵抗とコイルとコンデンサの組み合わせとして書き下している。発明者はAspen Pittmanと、もう一人。そして2008年にFenderがブランドを取得したあと、残ったのは真空管だった。

スピーカーは、なぜ後ろから付けるのが普通なのか。Fryette FatBottomが前面取付を音の言葉で説明した理由

ギターキャビネットのスピーカーは、バッフルの裏から付いていることが多い。前から付ける方式もあるが、たいてい整備性や見た目の話として扱われてきた。Fryetteはこれを音の説明として書いている。拡散、密閉、低域の締まり、投射。一方でスピーカー側のメーカーは、取付方向で周波数特性が変わると説明する。では、なぜ後ろ付けが多数派なのか。理由は音ではなかった。

KemperとNAMは、何が違うのか。IRだけが、どちらにも載る理由

KemperとNAMは、同じ「アンプを保存する道具」に見える。だが実際に比べると、やっていることは驚くほど近く、違うのは別の場所にある。どちらもアンプの非線形応答を推定し、どちらも「スピーカーを含めて録るか、外して録るか」という同じ二択を持つ。分かれるのは、その形式がどこに住んでいるか。そしてIRだけが、なぜ両方に載るのか。線形という一語が、その理由になっている。

三角形のキャビネットは、箱の中にあった。3rd Power DS412が分けたのは、外観ではなく経路である

変わった形のキャビネットは、たいてい外側が変わっている。だが3rd PowerのDS412は、外から見ると普通の4×12である。変わっているのは内側で、箱の中が四つの三角形の部屋に分かれている。しかも一室だけ開放で、残り三室は密閉。三角形は見た目のためではなく、反射を抑え、経路を分けるための形だった。

アッテネーターを、スピーカーの中へ入れる。磁束を可変にした忘れられた分岐

真空管アンプの音量問題は、ほとんどいつもアンプとスピーカーの間で解かれてきた。抵抗、ロードボックス、アイソレーション。だが2000年代末から2010年代初めにかけて、発音体そのものを可変にする製品が出ている。FluxToneは永久磁石を電磁石へ置き換え、Eminence FDMはノブでポールピースを動かして磁束をボイスコイルから逃がした。スピーカーの能率は定数ではない。それでもこの分岐は標準にならなかった。何が起きていたのかを整理する。

キャビネットを、小さな録音室にする。アイソレーション・キャビが反転させた箱の役割

ギターキャビネットは、音を客席や部屋へ投射するための箱として発達してきた。アイソレーション・キャビはその役割を裏返す。スピーカーとマイクを箱の中へ閉じ込め、外へは出さず、出力はケーブルだけで取り出す。IRやロードボックスが普及するより前に、大音量を私有化するための物理的な回答が存在した。ただし箱を小さくすれば、その箱自身が部屋になる。定在波と背圧という新しい問題を、各社がどう解いたかを読む。

スプリングリバーブは、なぜ今も作られ続けるのか。同じバネに与えられた四つの回答

スプリングリバーブの歴史は、音質が少しずつ良くなっていく一本道ではない。PA、ギターアンプ、スタジオ、実験的な演奏という別々の現場が、同じ機械式残響に別々の課題を与えてきた歴史である。Hawk HR-15、Peavey Valverb、Radial TankDriver 500、Gamechanger Audio LIGHT Pedal。この四台を優劣ではなく「何を良くしようとしたのか」で並べ直す。

大音量は、公共財から私有物になった。2010年代に起きた音量の私有化

かつて大音量は、場所を借りなければ手に入らないものだった。スタジオ、ライブハウス、練習場。真空管アンプの本領は、その場所へ行かなければ引き出せない。2010年代に、この前提が崩れる。リアクティブロード、アッテネーター、IR。大音量が個人の部屋の中へ入ってきた。音を出す権利が公共の予約枠から私有物へ移ったとき、機材選びと練習の仕方は何が変わったのか。

マイクプリで、音はどこまで変わるのか。色付けを設計するということ

マイクを立てて録るとき、その信号は必ずマイクプリを通る。プリは音量を上げるだけの装置に見えて、実際には音の質感を左右している。Neve/APIの色付けの伝統から、色を作る回路の中身、そしてCSLが実際に使うSymProceed SP-MP500とSM57/GT-67のチェーンまで、マイクプリで音がどこまで変わるのか、収録でどう固定するのかを具体的に書く。

ロードボックスとIRは、アンプの「終わり方」を変えた。音はどこで終わるのか

ロードボックスとIRは、スピーカーという最終段を切り離した。だが『スピーカーがデジタルに置き換わっただけ』ではない。リアクティブロードはパワー段の挙動を残し、線形IRはスピーカーの非線形な崩れを取り逃す。そしてKemperプロファイル自体もIRの親戚で、スピーカー層は同じく線形に凍結される。何が残り、何が失われるのか——CSLの記録がIRと本当は何が違うのかまで、正直に掘る。

同じアンプ、違うキャビネット。音の何割が、キャビで決まるのか

同じアンプヘッドでも、つなぐキャビネットが変われば音は大きく変わる。では、最終的な音のうち、どれくらいがキャビで決まっているのか。スピーカーの口径や素材、箱の開放・密閉、マイクとの相互作用まで踏まえて、ヘッドとキャビの役割を整理し、CSLがなぜ基準キャビを固定して収録するのかを掘り下げる。

宅録という環境は、アンプ設計に何を要求したのか

自宅で録音するという環境が当たり前になったとき、アンプに求められるものが静かに変わった。大音量で完成する設計から、小音量でも成立し、ラインで完結する設計へ。アッテネーター、ロードボックス、パワースケーリング、IR、モデラー——宅録という制約がアンプの進化に何を要求し、なぜ『そのアンプの音』が条件抜きには語れなくなったのかを、CSLの視点で追う。

宅録・DTMで、小型アンプのプロファイルが効く理由

宅録では、大型アンプの迫力より、小型アンプの収まりのよさが効く。CSLが最初の商品に選んだ5Wコンボ、Greco GVA CUSTOMを例に、なぜ内蔵の8インチスピーカーごと記録するのか、その音が宅録で強い理由を書く。

100本の記録を、弾ける形にして渡す

この記事で100本目になる。ここまで、ずっと同じことを書いてきた。消えていく音を、条件ごと記録すること。その記録を、読むだけで終わらせず、実際に弾ける形にして渡す。CSLがKemperプロファイルを売る、その理由を書く。

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